| 『あなたに逢いたい』 「好きだ」なんて言うつもりはない 「愛してる」なんて言うつもりもない ただ…… 「一緒にいたい」だけなんだ 「1人で帰れる」 忍足の申し出は、あっさりと却下された。 気紛れな風になびいた髪のおかげで、手塚の白い横顔が垣間見える。 そのせいで、この言葉が強がりの一つだと分かってしまった。 「せやかて、もうこんな時間やし……」 「こんな時間と言っても、まだ10時だ。俺は、夜道を心配される女子ではないんだが?」 「俺は!心配やの」 そう力説する忍足を、相変わらずの冷めた視線で手塚は見る。 「お前の気持ちはありがたいが、わざわざそこまでしてもらう必要はない。じゃあ……」 「あ!待てや」 キッパリと言い切って帰ろうとしたその手を、忍足は慌てて掴んだ。 「何だ?」 振りかえった手塚の顔は、トレードマークとも言える無表情。 「送るって言うてるんやから、人の好意は素直に受けるもんや」 「……これ以上、無駄な行動をさせるわけにはいかない」 手塚は、そう溜め息まじりに呟く。 「無駄な行動やあらへんやろ?さっきのかて俺にとっては、かなりのラッキーやで?」 へらっと嬉しそうに笑いながら、忍足は答える。 「だと良いのだが……。しかし、俺を家まで送るのは明らかに余計な労力だ」 「そんなことあらへん。このまま1人で帰したかて、俺は心配で心配で……。 せやったら、俺が送って帰ったほうがええやろ?」 ニッと笑う忍足の態度に、手塚は戸惑っていた。 正しく言うと、自分自身の行動にも困惑していた。 何故、氷帝の忍足とテニスをしたのか? 何故、忍足の申し出を断りきれないのか? そして、自分の予想通り、忍足に返事をしている――― 「……分かった」 「よっしゃ!ほんなら、行こか」 満面の笑みで歩き出した忍足の横に、手塚は微かに苦笑しながら並んだ。 あの時、偶然…本当に偶然、忍足は青学の部長・手塚に出会った。 まさかこんな所で会うとは思っていなかったのだろう。 あの手塚も、少し驚いたようだった。 そして、忍足の知っている手塚とは、何故か印象が違っていて…… 気付いたときには、思わず声を掛けていた。 「なぁ、ここで会うたのも何かの縁やし…そこの公園、コートあるんや。ちょっと打って行かへんか?」 「―――そう、だな。それも、いいかもしれない」 噂に聞く態度とは、まるで違う手塚が忍足の目の前にいた。 無表情は相変わらずだが、雰囲気が違う。 テニスをしている時とは当然のこと、普段の手塚を知らない忍足でさえ違和感を覚えた。 常に高みを目指す者が纏う、光が…覇気が揺らいでいた気がした。 なんとかしたい…… 無意識に、忍足はそう思った。 偶然会った日から、二人は時間の合う限りテニスをしていた。 テニスの後は、忍足が手塚を家まで送る…… これが、お決まりのパターンになってきていた。 そして今日も、昨日の約束通りテニスをしている。 「……そろそろ帰ろか?」 時計の針が10時を指したのを視界の端で確認して、忍足はボールを止める。 手塚は時計をチラッと見たが、首を横に振った。 「いや、俺はまだ打ってから帰る。先に帰っていてくれ」 初めての手塚の反応に、忍足は少し驚いた。 「せやかて、10時やで?」 今まで10時近くになると、どちらからともなく打つのを止めていた。 「あぁ、分かっている」 「家の人が心配するんちゃう?」 「今日は全員出かけているから、問題無い」 あくまで、手塚は打っていく気らしい。 これ以上の練習がオーバーワークなのは、間違い無いのだが――― 忍足は内心で溜め息をつきつつ、笑顔を浮かべる。 「……ほんなら、俺も付き合うわ」 「お前のほうこそ、ご家族の方が心配されるだろ?帰ったほうがいい」 「ん?俺の家って放任主義やから、何時に帰っても関係あらへん」 「しかし……」 「問題あらへんって!ほら、いくで」 なかなか頷かない手塚に、サーブを打つことで忍足は強引に話を打ち切った。 少々不満げな顔をしながらも、手塚はラリーを続ける。 どれくらいラリーを続けたかは、よく分からない。 完璧にオーバーワークの手塚の顔に、疲労の色が濃くなってきた。 自覚は充分にあるはずなのに、手塚はまだプレーを止める気配はない。 そろそろ潮時だろうと忍足が思っていると、不意に手塚の身体が揺らいだ。 「!!」 急いでネットを飛び越えて、忍足は膝をついた手塚に駆け寄る。 「―――気、済んだか?」 微かに首を横に振りながら、手塚は差し出された両手に倒れこんだ。 意識を無くした手塚を受け止めることしかできないことに、忍足はギリッと歯噛みした。 ここまで無茶をする原因を、手塚は決して語らない。 偶然会ったあの日から、帰り道で話すチャンスは何度もあった。 しかし、手塚はほとんど話すことはなく、忍足の話しを聞いているだけだった。 二人でテニスをするようになって、忍足が手塚について新しく知ったことは殆ど無い。 あまりに共通点の少な過ぎる忍足には、原因を推測することすら難しい。 「……なんで、分かられへんのやッ!!」 忍足は吐き出す様に呟いて、手塚を抱く両手に力を込めた――― 〜to be continued later〜 − next − |
反省文。
遂に続き物までやってしまったんです・・・(遠い目)しかも、忍塚。。。接点の無い二人は設定が難しい(汗)
しかし、忍塚って最高だと思う俺です。何故なら、2人とも眼鏡着用!!(強調/笑)
その上、忍足は関西弁!最高っていうか、言う事無しですってカンジにメロメロです(爆)
インテリ系の関西弁って良いって思いません?俺的にインテリ系の人ほど関西弁で・・・
いや、むしろはんなり??京都弁でよろしくって言いたいんですけど(笑)
とりあえず(ぇ)。。。忍足関西弁同盟加入者として、忍足最高!!