| 『あなたに逢いたい』 「こだわらなければいい」 そんなこと 言われなくても分かっている 別に こだわっているつもりはない ただ…アイツ以外 気にならないだけだ 手塚が倒れたあの夜から三日が経った。 あの日以来、手塚から電話は無い。 忍足は、倒れた手塚を家に送って以来、電話することを躊躇っていた。 何とかしてやりたいと思っていたにも関わらず、何も出来てはいなかった。 その事実が、忍足を悩ませている。 「はぁ……どないしたらええんやろか……」 放課後の教室で、今日何度目かの深い溜め息をついた時、不意に声を掛けられた。 「侑士!跡部が部室に来いって!大至急らしいぜ?」 「あぁ??なんやろか……」 わざわざ呼び出されるようなことをした覚えは無い。 「早く行ったほうがいいぜ?」 「まぁ、せやな…おおきに、岳人」 伝言に来た岳人の頭をクシャクシャと撫で、忍足は部室に向かう。 跡部が呼び出しをかけるほどの、何があるというのだろうか? 全く見当もつかない。 「これで、しょーもない用事やったら、俺は怒るで……」 今は、何よりも優先して考えたいことがある。 それこそ、テニスよりも…… ふと目指す部室を見ると、人だかりが出来ていた。 「……なんやの?」 首を傾げながらも、忍足はゆっくりと部室に近付く。 「何なん?この人だかりは……」 目に付いた、長身の鳳に声を掛ける。 「あっ、先輩!!先輩に来客なんですよ!」 「俺に?」 ひょいっと部室の中を覗くと、不機嫌そうな跡部が座っているのが見えた。 しかし、客人の姿までは確認できない。 「うわっ…跡部が、めちゃ不機嫌やんか。一体、誰なん?俺に客って……」 「入れば分かりますから。早く行ってください」 鳳に押されるような形で、忍足は部室に入る。 「遅いぞ、忍足」 間髪いれずに、不機嫌な跡部の声がとぶ。 だが、忍足の耳に跡部の声は届いていない。 「青学の不二……?」 あまりにありえない客人に、忍足は驚いた。 「こんにちは」 その不二はというと、他校だというにも関わらず平然と微笑んでいる。 「けったいな客やな……」 不躾にそう呟くと、不二はクスッと笑った。 「まぁ、確かにね。僕も、まさかここに来ることになるとは思ってなかったからさ」 「……そうやろうな。んで、何の用事や?」 青学の不二と、今の自分の接点は一つしかない。 不二はにこっと微笑むと、跡部に申し出る。 「ねぇ跡部。席外してくれない?忍足と二人で話したいんだ」 「俺も話の内容に興味あるんだけどなぁ?…まぁ、いい。忍足、後で教えろよ?」 そう言いおき、跡部は部室の扉を閉めて出て行った。 素直に跡部が出て行ったのを見て忍足は、自分が来るまでに、 不二が用件を一切跡部に告げていない事を悟る。 「それで?跡部には言われへん話って何やの?」 見当はついているが、忍足は一応訊ねた。 「……『この間はすまなかった。しばらく予定があるので、一段落したら連絡する』」 「??」 思わず首を傾げる忍足を、不二は相変わらず微笑んだまま見る。 「伝言だよ、一応」 「それだけ?」 「そう、これだけ」 にこっと微笑む不二に、忍足は思わず独り言のように呟いた。 「―――わざわざそれだけの為に、ここまで来たんか?」 たった、これだけのために?? こんなちょっとのことなら、電話で充分だ。 そもそも、不二が伝言を伝えに来ること自体が不自然だ。 有り得ない…普通は、絶対有り得ない。 「そうだよって言いたいけど、残念ながら違うよ……」 一瞬にして表情を変えた不二が「口止めされてるんだけどね……」と前置きを呟いて、 信じられない言葉を発した。 「入院してるよ」 「?!」 予想外の言葉に、忍足は言葉を失う。 「……ここ最近、元々調子は良くなかったみたいだけど。一昨日から熱が下がらなくて、 昨日、おばさんが病院に無理やり連れて行ったらしい」 不二は真剣な表情のまま、淡々と語る。 「神経性の胃炎にもなってるらしいから、そのまま入院ってことになったみたい。 高熱の原因も、精神的なものらしいんだけど」 高熱に、神経性の胃炎…… 確かに偶然会った日から、調子が良さそうだった日は一日だって無かった。 あの日、自分がちゃんと止めていれば、入院までしなくて良かったかもしれない。 そう思うと、忍足は自分を責めずにはいられない。 「どこの病院なん?」 問いかけた忍足に、不二はにこっと微笑んだ。 「きっとそう言うと思ったよ。今から僕も行くから、一緒に行こう」 「……最初から、そのつもりやったん?」 それなら、青学からわざわざ氷帝まで来た理由も頷ける。 案の定、不二からは肯定の返事が返ってきた。 「そうだよ?いくら僕でも、わざわざ伝言のためだけにここまで来ないよ」 「確かに…そんな暇人とは思えへんしな……ほんなら、行こか?」 忍足と不二は足早に部室を出て、病院に向かった。 ある病室の前で、忍足は足を止めた。 部屋番号とプレートに書かれた名前で、この部屋が目的の場所だと知る。 一緒に来た不二は、他の用があるとかで病室までは来なかった。 忍足は一応ノックするが、返事は待たずに病室に入る。 病院の入り口で偶然会った手塚の母親に、今は寝ていると聞いていたからだ。 静かに歩み寄り、忍足はベッドで寝ている手塚を見つめる。 「……手塚?」 小声で声を掛けるが、起きる気配は無い。 忍足はベッド横に置いてある椅子に、睡眠を妨げないよう静かに座った。 熱のため頬が少々紅潮しているが、眠る手塚の表情は穏やかだ。 その寝顔を見つめながら、忍足は自分の心の変化を自覚していた。 何とかしてやりたいと思った理由も、これで理解できた。 忍足の心を占領した感情は一つ。 切ないほどの愛しさ 「……やっかいやなぁ」 微かに呟き、忍足は手塚の髪を優しく撫でる。 そのせいかは分からないが、手塚はうっすらと目を開いた。 「ん……?」 「あ、起こしてしもうたか?」 目を覚ましきってはいない手塚に、忍足は小声で訊ねる。 もう一度寝るようなら、そのままでいいと思いつつ反応を待つ。 「忍足?…何故、ここ…に……?」 手塚は熱で朦朧とするのか、少し言葉が途切れ気味だ。 「伝言貰ったとき、不二に聞いたんや」 「口止め、しておいた…はず」 「そうらしいなぁ……。ま、それはええやん」 わざわざ今ここで言う必要もないと思い、忍足は言葉を濁す。 「……」 少し不満そうに眉をひそめる手塚だが、未だはっきりと意識が覚醒しそうにない。 多分、薬による睡眠だとみて間違いは無いだろう。 こんな状態で、まともな会話はできそうにない。 忍足は内心溜め息をつき、謝罪はまたの機会にしようと決めた。 「とりあえず、もう寝とき?俺も、もう帰るから……」 髪を撫でていた手を引こうとしたが、それは手塚の左手によって阻まれる。 その行動に驚いて、忍足は思わず手塚を凝視した。 「お前の、せいじゃない…からな……?」 そう告げると手塚はゆっくりと目を閉じ、すぐに規則正しい寝息をたてはじめた。 掴まれたままの腕からそっと熱い手を外し、忍足はその手を両手で握り締める。 少しでも苦しみが安らぐように――― 祈るような気持ちで、忍足は手塚の左手に優しくキスをした。 〜to be continued later〜 |
反省文。
続いてます。。。続いてしまったんです・・・終わるでしょうか?(ぇ)
俺的には4話で終わらせる・・・予定です(多分)でも、なんか長くなりそうな予感がしてます(遠い目)
何故なら、この後手塚は退院しないとダメでしょうし・・・忍足君、手塚に告白しないとダメでしょうし。。。
少なくとも告白はして、その返事は貰わないとな。。。ってことで、長引きそうです(爆)
末永くお待ち頂けると。。。嬉しかったりします(礼)
なんか。。。設定って難しいですね。他校と手塚だと更に難しいです(苦笑)
まぁ、相当適当に書いてるから良いんですけど(マテ)
忍足と手塚とか、かなり好きですから思いつきますけどね。
これが苦手キャラだったら・・・絶対に何も書けません(笑)設定で悩んで、文章まで行く前に挫折・・・
容易に想像できるので、無謀なことはしません(爆)