誰かに喜んでもらえるのは嬉しい

  それが好きな人なら尚更…

  だから、皆一生懸命なんだよ

  大好きな人の笑顔が見たいから……

 
 
 
 

 プレゼント大作戦

 
 
 

 1月末日―――

 私はいつものように、旧校舎の1階にある音楽室でピアノを弾いていた。

 青春学園に入学してからの、私の日課である。

 何曲か弾き終わったとき、音楽室の扉が静かに開いた。

「おはよう。邪魔にはならなかったか?」

「おはようございます、手塚先輩。気にしないで下さい。大丈夫ですから」

 いつもの決り文句で音楽室に入ってきたのは、手塚先輩。

 青学の生徒会会長で、テニス部の部長もしている凄い先輩。

 そんな人が、どうしてこんな朝早くに、こんな場所まで来てくれるかというと……

 実は、私の彼氏であるからだったりする。

「今日は少し遅いですね?朝練、長引いたんですか?」

 時計を見ると、先輩が来るいつもの時間より5分くらい遅かった。

「いや、そうでは無いんだが……。ちょっと色々あってな」

「…そうですか。お疲れ様でした」

 言葉を濁した手塚先輩に、私はあえて深くは追求しなかった。

 こういう時は、言いたくないことのほうが多いだろうから……

「……ありがとう、

 手塚先輩は微笑んで、私の頭をポンポンと軽く撫でる。

「どういたしまして。ねぇ、先輩。今日のお昼ご飯は一緒に食べれますか?それとも、今日は会議の日ですか?」

「今日は…ちょっと難しいかもしれない。会議もあるし、ランキング戦のオーダーをそろそろ決めなくてはならないしな……」

「そういえば、そういう時期ですね。わかりました。じゃあ、今日は諦めますね?」

「すまないな……。明日は生徒会業務だけだから、一緒に食べれると思う」

「本当ですか?嬉しいな!」

 忙しい先輩と一緒にお昼を食べるのは、なかなか難しい。

 私と手塚先輩が付き合っていることを知っている人は、多分いないと思う。

 別に隠そうと思っているわけじゃないんだけど……でも、そのおかげで助かっている。

 手塚先輩は本当に人気があって、もしも付き合っているなんてことがバレたら、どうなることか―――

「あ…、そろそろ時間だぞ?」

「え?あぁ!!HRが始まってしまいますね!」

 言われて時計を見ると、時計は8時30分をさそうとしていた。

「悪いな、俺が遅くなったばかりに……」

「いえ、気にしないで下さい。会えただけで充分ですから」

「……ありがとう」

 そう微笑んで、手塚先輩は額に軽くキスをくれる。

「―――ッ!…は、早く行きましょうか?」

 私は真っ赤になった顔を見られないように、フイッとそっぽを向いく。

「そうだな」

 声の調子で、先輩が苦笑しているのが分かる。

「先輩!」

 抗議しようとした私の言葉は、あっさりと遮られた。

「ほら、。行くんだろう?早くしないと、本当にHRが始まるぞ」

 そう優しく言って、先輩は先に音楽室を出る。

「分かってます!」

 私は慌ててピアノの蓋をしめ、手塚先輩のあとを追いかけた。

 
 
 
 

「うそ……」

 家のリビングで、何となくみたカレンダーに私は固まった。

 そう…今日から2月である。

 何故、今朝のランキング戦の話しの時に気付かなかったのか……

 私は気付かなかった自分の不運を呪った。

 2月と言えば―――

「来た。恐怖のバレンタインが……」

 去年までの私とは、また違った恐怖のバレンタイン。

 何せ今年は、どうしても手塚先輩にチョコをあげたいのだ。

「き、気付くのが遅かったかも…どうしよう……」

 何がどうしようかと言うと、私は一切のお菓子作りをしたことが無い。

 それどころか、料理さえまともにした事は無いのだ。

 だから、バレンタインのチョコは市販で…と思っていた。

 でも、皆に勧められたこともあって、手作りにしようかな?と思いはじめていたのだが……大好きな人にあげるチョコだ。

 無謀なことはしないほうが良い気もする。

「やっぱり市販のチョコかな……?」

 カレンダーの前で、眉間にしわをよせて呟いた途端、不意に背後から声を掛けられた。

「市販のチョコがどないしたん?」

「え?あ、侑士にぃか。来てたんだ?」

 振りかえると、一つ上の従兄弟である侑士にぃが立っている。

「おう、さっき邪魔させてもろうた。今日はこっちでご飯食べぇって言われとるからな」

「そうなんだ」

「そんで?市販のチョコがって…あ、。バレンタインの話しやな?」

 カレンダーを一瞥して、侑士にぃが笑った。

「うん、バレンタイン。今年はあげたい人がいるんだけど…やっぱり手作りじゃなきゃダメかなぁ?」

「そないなこと無いと思うで?っちゅーか、の料理レベルやったら、買ったほうが安全や」

 作ったとしても、貰ろうた方が病気になったら洒落にならへんで?とでも言いたげだ。

 まぁ、実際問題として、そんなことになったほうが困るのは確かなんだけど―――

「だよねぇ……。残念だけど、今回は買おうかな……」

「そうしといたほうが無難やと思うで?―――そういえば、誰にあげるん?」

「え?」

「料理なんか死んでもせえへんって言うてたに、チョコをつくろうって思わせるほどの男なんやろ?どんな男やねん?」

 興味津々の侑士にぃに、私は満面の笑顔で答える。

「最高にかっこ良い人だよ」

「……それだけじゃ、わからへん。同じ学校の人か?」

「うん、同じ学校の人。侑士にぃなら知ってるかもね」

 侑士にぃは氷帝学園でテニス部に所属していて、しかもレギュラーだしね。

「テニス部?」

「そう」

「かっこえぇんやな……?青学やったら…部長の手塚国光か…?」

「あたり!」

 パチパチって拍手をしてあげると、侑士にぃは苦笑して私の頭をくしゃくしゃと撫でる。

…やっかいなヤツに恋したんやな……」

「やっかい??なんで?」

「俺の知っとる手塚国光は、めっちゃクールやで?いつも眉間にこんなん皺よせて……無口らしいし」

 侑士にぃは、眉間に皺を寄せて手塚先輩の真似をした。

「うーん…そう、いうとこもあるけど、凄く優しいよ?」

「……優しい?想像つかへん―――っていうか、。まさか…手塚と付き合うてるんか?!」

「え?あ、うん」

 私が頷くと、侑士にぃは驚いたあと爆笑する。

「ホンマ?!聞くんが遅かったわ…俺!あんなテニス以外眼中無さげなヤツに、彼女がおるっちゅーだけでも充分に驚きやのに、

それがやって?もう、笑うしかないで」

「ちょっと、どういう意味?私と手塚先輩じゃ、確かにつりあわないけど……笑わなくてもいいじゃん」

「あ、別にを笑ろうたわけとちゃうで?どっちかっていうと、手塚を笑って…ないって。はいはい、俺が悪いんやんな」

 私が睨みつけたのに気付いて、侑士にぃは笑って誤魔化した。

「良いけどね、別に」

「すまんって…ほな、お詫びにとっておき情報を教えたるって。コレは氷帝の部長情報やから確実やで?」

「本当に?!何?」

 目をキラキラさせながら、私は侑士にぃの言葉を待つ。

 
 

「あんな…手塚、チョコ嫌いらしいで?」

 
 
 
 

〜 to be continued later 〜

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反省文。

バレンタイン企画で書いたもの・・・手塚ドリームな予定なんだけれども、忍足が・・・出過ぎデス(笑)
仲良し従兄妹っていうのは、どうなんでしょうかねぇ・・・私的にはアリなんですけど。
いや、忍足みたいな従兄妹がいたら、間違い無く忍足らびゅで、超問題児だったでしょうけどね(苦笑)

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