偶然と必然の交わりで 運命は形成され 気付かないうちに、全ては動き出す はじまりはいつも・・・・・・ 6月。 梅雨という言葉とは無縁な快晴の日。 青春学園の正門の前に、1人の少女が立っていた。 「ここが、青学か……」 少女が身にまとっているのは、あきらかに私服。 青春学園の生徒ではナイ。―――今は。 明日になれば、この少女は青学の生徒となる。 要は、季節ハズレの転校生なのだ。 正式な転入日は明日なのだが、その前に学校に慣れたいと申し出た少女の要望により、 今日、案内してもらえるようになっていた。 「えっと…事務室ってどこだっけ……?」 先日貰った生徒手帳を見ながら、校舎への道を歩く。 私服は目立つだろうか・・・?と、青学につくまで気にしていた少女だったが、幸いなことに、 今は午後の授業中らしく辺りに人影は無かった。 一つ不安が解消したことで、少女の心は幾分軽くなる。 そのせいで気が緩んだのかは謎だが・・・・・・ 「きゃっ!」 生徒手帳にある地図を見ることに神経を集中させすぎていた少女は、足元の小さな小石に躓き転倒してしまう。 「イタタ……もう、気をつけなさいって言われたばかりだったのになぁ」 パンパンとスカートの埃を払って立ち上がる。 膝や地面についた手を見るが、ケガはしていないようで、どこからも血はでていなかった。 はたと、誰かに見られてはいないかと周囲をキョロキョロと見まわす。 当然のように、誰もいない。 少女はそのことに安堵して、ほっと胸を撫で下ろした。 「良かった。誰かに見られてたら恥ずかしいもんね……」 生徒手帳を拾って、軽く埃を払うと校舎に向かって再び歩き出した。 しかし、運が悪いと言うかなんと言うか、校舎へと歩く少女の姿を見ていた人物は何人か存在していたのだ。 それは授業中にも関わらず、窓の外を見ている不真面目な輩達…… もちろん、その中にテニス部員が含まれていても何ら不思議ではない。 例にもれず桃城・越前、そして珍しいことに海堂の視線が少女の姿を捕らえていた。 無論、少女がその視線に気付くことは無い。 私服姿という目立つ格好で歩けば、いやがおうでも視界には入ってくる。 何をしているのか不思議に思う者あり。 何かを見ながら歩いて危ない・・・という微かな心配心が芽生える者あり。 見事に転んでくれた(笑)少女に、口の端を思わず緩ませた者あり。 そして転んだ妙な少女のことは、テニス部レギュラーである3人の心にそれぞれ印象的に残ったのだった。 生徒手帳の地図のおかげで、少女はなんとか事務室に辿りつく。 「すみません。明日から転入すると言いますが……」 「あぁ、話しは聞いてます。あ、中に入ってて?案内してくださる先生がいらっしゃるそうだから」 受付の女性は、笑顔でそう答えると事務室内にを招き入れた。 気さくなその女性としばらく話しをしていると、扉がノックされ1人の男子生徒が入ってきた。 「失礼します。転入生の案内を頼まれたのですが……」 事務室に入ってきたのは、いかにも優等生というかんじのクールな男子生徒。 「あら?手塚君?」 少し驚いたような女性の言外の質問に、手塚は無表情に答えた。 「竜崎先生に頼まれました」 手塚の言葉に、は心の中で首を傾げる。 竜崎……? 記憶の中にあったような…無かったような……? 「相変わらず人使いが荒いわね……」 女性の苦笑した言葉に、手塚は肯定も否定もしない。 そんな反応を気に留めた様子も無く、女性はに視線を向けた。 「先生じゃないけど、平気よね?彼、生徒会長だから。何でも聞いてしっかり覚えてね」 「はい!」 女性にお辞儀をして、はその手塚の前に立つ。 「よろしくお願いします」 そう笑顔で背の高い手塚を見上げると、手塚は軽く頷いた。 内心その笑顔が良いな…などと思ったことは、その無表情からは読み取ることはできない。 「では、失礼しました」 男子生徒と共に挨拶をして、達は廊下にでる。 扉を閉めて歩き出した手塚に慌てて追いついて並びながら、はさっき気になったことを口にする。 「あの…私の案内、竜崎先生って方に頼まれたって言ってましたけど……」 「あぁ。そうだ」 「えっと……もしかして、その竜崎先生って方は、テニス部関係の先生だったりしますか?」 「知っているのか?」 手塚は少し驚いたように視線をに向ける。 「えーっと…知ってはないんですけど、一応知ってマス」 「…意味が分からないのだが」 の妙な返答に、手塚は眉を顰めた。 「あ、そうですよね。分かりませんよね……えっとですね?私の従兄弟が2年前までココに通ってたんです。 その時、男子テニス部だったんですよ。それで、部活の色んな話しを聞いてる時にお名前を聞いたことがあったり、 実は2・3回お会いしたこともありまして。あ!でも、知っているってほどじゃないんですけどね」 言い方悪くて申し訳ないですと、は手塚にペコリと頭を下げる。 「2年前?」 聞き返してきた言葉に、は笑顔で頷く。 「はい。従兄弟は、今高校2年生ですから間違い無く2年前です」 2年前と言えば俺達が1年の時の3年だ。 どの先輩の従兄妹なんだ・・・・・・? 手塚は純粋に興味がわいた。 こんなに笑顔が素敵な少女の従兄妹が誰なのか。 いや、だが身内のことなど聞いても良いものだろうか? 少々悩んだ結果、純粋な興味が多少勝った。 「もしも差し障りがなければ、従兄弟の方のお名前を聞いても良いか?」 「え?全然構いませんよ♪大和です。大和裕大って言います」 にっこり笑顔で答えてくれたの言葉に、手塚は思わず立ち止まってしまった。 「あれ?どうかされましたか?」 立ち止まった手塚に、は心配そうに近寄る。 「大丈夫ですか?」 「あ…あぁ。問題無い。少々驚いただけだ」 「??何にですか?」 首を傾げるに、手塚は微かな苦笑を浮かべて呟いた。 「まさか、部長の従姉妹とは……」 「部長??あ、そういえば従兄弟は部長って言ってたような……」 そんなんでよく部長なんか務まるね?と裕大と話していたのを思い出して、は微かに笑った。 アレ?部長?っていうことは・・・あれれ?? 「もしかして、従兄弟のこと知ってたりしますか?」 「あぁ……そう言えば言っていなかったな。男子テニス部部長の手塚だ」 自己紹介をする手塚に、は一瞬キョトンとしたが、すぐにエヘヘと笑った。 「私も言ってなかったですね。明日から2年5組になります、です。よろしくお願いします」 ニコニコと微笑みかけるに、手塚は内心苦笑する。 この人懐っこさは、あの大和部長とどことなく似ている気がした。 「宜しく」 と、ちょうどその時、廊下の向こうからやってきたのはジャージ姿の年配の女性と何人かの男子生徒。 「あ!」 はその女性を見て声をあげ、少し足早に向かっていく。 その行動を追うように、手塚は視線を動かす。 「竜崎先生……」 歩み寄るに気付いて、竜崎はおや?と首を傾げた。 「ん……?アンタは確か―――」 「お久しぶりです」 ペコリと御辞儀をすると、は竜崎に向かって微笑んだ。 無論、その笑顔は竜崎の周りにいた男子生徒たちも目にすることになるのだが…… (((((可愛いッ))))) 全員が全員、そう心の中で呟いたことなどは知る良しも無い。 「本当に久しぶりだねぇ。前に会ったのはいつだったか……」 「多分、2年前じゃないでしょうか?」 「もうそんなになるか―――おや、手塚と一緒ということは・・・そうかい、アンタが時期はずれの転入生だったのかい」 「はい!今後宜しくお願いします」 ニコニコと歓談していた二人の間に、後ろの集団の中から声が割り込む。 「ねぇねぇ!転入生ちゃんと知り合いなの〜?」 ひょいっと身を乗り出して興味津々に竜崎に訊ねるのは、髪の毛をクルンとはねさせた男子生徒。 「ん?あぁ、この子はといって、お前達が1年の時に部長だった大和の従姉妹なんだよ」 ………………… 数秒の沈黙のあと、手塚を除いた全員一斉の声。 「「「「「え?!」」」」」 「別に驚くことはないだろう?」 笑う竜崎に、サラサラ髪の美少年が苦笑した。 「そうですけど…なんか、大和部長のイメージとあまりにギャップがあるから、つい」 「確かに…まぁ、大和部長が特殊といえば特殊なんだろうが」 そう言ったのは、背の高いスクウェアの眼鏡をかけた男子生徒。 「そうだったよね……」 (((だってグラサンだし。しかも、丸眼鏡仕様))) 穏やかに同意したのは、こちらも背の高いのほほんとしたカンジの男子生徒だ。 「不二、乾、タカさんまで……。彼女の前で失礼だぞ?ごめんね?」 (確かに少し・・・いや結構変わってはいたとは思うけど;) 3人をたしなめて謝罪するのは、優しそうな雰囲気の男子生徒だった。 しかし、その謝罪をモノの見事にぶちやぶったのは最初に口を開いた少年。 「でもぉ、大石!事実だもんねぇ」 (グラサン&ヘアバン?に髭だもんにゃ☆) 「菊丸」 見かねて手塚が制すると、菊丸はてへっと舌をだして笑った。 (まったく・・・アイツらは思っていることが顔に出過ぎだ。彼女が気付いてないのが幸いだ) などと思う手塚の苦悩は、もちろんポーカーフェイスから読み取れず。 「あの!気にしないで下さい。確かに裕にぃは変ですから」 キッパリ言いきったに、一瞬空気が止まる。 「アハハハハッ!相変わらずだねぇ、お前は」 竜崎の笑いにつられたように、いっせいに笑いの輪は広がった。 「??何か、おかしなこと言いました?」 ナンデ私は笑われてるの?? 一体全体どうして皆が笑っているのかが分からず、は首を傾げた。 〜 to be continued later 〜 |
反省文。
改造に伴い、少々書きなおし&書き加えました(笑)あんま変わってないですね、ココは。
― Back ―