仕組まれたかの運命は

 人の意思さえも動かし

 静かにそっと歯車を廻すのみ―――

 
 
 

はじまりはいつも・・・・・・

 
 
 
 

 ひとしきり笑いが収まり、ハタと気付いたように竜崎が口を開いた。

「おっと、そう言えば紹介し忘れてたね。こいつらは、今の3年でうちのレギュラー達だよ。乾に河村、不二に菊丸に大石。

そして、そっちはもう知ってるかもしれんが部長の手塚だ」

 竜崎に紹介された順に、に向かってよろしくと自分の出来る最高の笑顔を向ける。

 そんな1人1人に、も宜しくお願いしますとニッコリと微笑んだ。

 例外なく全員がその笑顔にノックダウンしたことなどは知らない。

「そういえば…竜崎先生。何か用がおありだったんじゃないんですか?」

 手塚が思い出したように問い掛けると、竜崎は「しまった!」と苦笑した。

「職員室に行かないといけないんだったよ。悪いね、。積もる話しはまた今度にでもしようじゃないか」

「お引止めして、すみませんでした」

 ご用事の時間に間に合いますか?と心配するに笑顔を向け

「心配無用だよ。手塚。の案内、任せたからね」

 と言い置き、足早に竜崎は廊下の向こうに消えていった。

「……ってことは、まだ案内してないの?」

 菊丸が目をキラキラさせて、手塚を見る。

 気付かれたか・・・と内心溜め息をついたことなど顔には出さずに、手塚は軽く頷く。

「案内しようとしていた時に、お前達が来たんだ」

 その言葉に、全員の声が揃った。

 

「「「「「じゃあ、俺(僕)が案内するよ」」」」」

 

 全員の申し出に一瞬驚いただったが、すぐにペコリとお辞儀をする。

「ありがとうございます。じゃあ、皆さんご一緒しましょう!」

 皆一緒か…とぼやいた全員の心の声は、の微笑によって速攻でかき消されたのだった。

 
 
 
 
 
 

 男子テニス部3年レギュラ陣ーによる青学案内ツアー(笑)

 超短時間でに心を鷲掴みにされてしまった彼らの思うことは一つ。

 

((((((後1年遅く生まれたかった……))))))

 

 そうすれば同じクラスになる可能性もある。

 同じクラスじゃなくても、合同授業っていうチャンスもある。

 休み時間に廊下ですれ違うだけでもいい。

 たけど、自分達は3年生。それを望むのは不可能。

 学年が違うのはどうしようもないのだ。

 もっと一緒にいたいけど、何か方法はないのだろうか?

 
 

 6人がまったく同じようなことを考えていると、あの男が口を開いた。

「そういえば、さんは部活とか決めたの?」

 にこっと微笑んで訊ねたのは不二。

 普通の人から見れば笑顔。

 ただし、他のレギュラー達からみれば悪魔の微笑み。

 不二があんな笑顔をする場合、何かしらの企みがあるのをレギュラー陣は身をもって(笑)知っている。

 残りの5人の頭の中は瞬時に動き始める。

(一体不二は何を企んでいるやら・・・・・・)

(不二が脈絡もなく部活のことを言うわけがないよな・・・・・・)

(絶対不二もさんを気に入ってるはずだし・・・・・・)

(俺と一緒でもっと一緒にいる方法を考えてるハズだよにゃ・・・・・・)

(となると、部活=彼女と一緒にいられる方法が成り立つ答えは・・・・・・)

 

(((((マネージャー!!!)))))

 

 一斉に答えを導いた5人は不二をチラリと見る。

 やっと気付いたみたいだね。

 不二はクスリと笑う。

 さぁ、ここからは連携プレーがものを言うんだから。

 分かってるよね?

 
 
 

「部活、ですか?」

 小さく首を傾げるは、もちろんレギュラー陣の思惑など気付くわけがない。

「あ、でもまだ何部があるか知らないかな?」

 一応常識的に判断して発言するのは、もちろん大石。

「大丈夫ですよ。編入手続きの時に頂いたパンフレットに書いてありました♪」

「何か入りたい部活はあった?」

 個人の意見も尊重しないと…と思っての発言かは謎だが、河村が訊ねる。

「えっとですね……それは……まだ決めてないんですよ」

 は少し困ったように笑った。

「前の学校では何部だったんだい?」

 さりげに情報収集をするのは当然、乾。

「あ・・・えっと、入ってなかったんです」

「あやゃ、帰宅部だったんだ?じゃあじゃあ!何か興味あるコトとか、やってみたいコトとかある?」

 帰宅部だったことを恥じてか少し俯きがちになりかけたを、菊丸はヒョイっと覗きこんだ。

「そう、ですね。どこも興味深くて迷っちゃって・・・・・・」

 優柔不断なんですよね☆とは苦笑する。

「転校生であるお前に、きちんと仮入部期間を置いてくれる部があると良いのだが・・・・・・」

 手塚が生徒会長らしい言葉を口にをすると、はニコリと微笑んだ。

「中途半端な時期ですから、仮入部期間が無くても仕方ないです。決めたトコで頑張ります」

 一発勝負覚悟なに不二がニッコリと提案する。

「それなら、うちのマネージャーでも試しにやってみない?」

「あ、それは良いんじゃにゃい?ね?」

 凄い勢いでに近寄ると菊丸は、その右手をとり両手でギュッと握る。

「えっ、あの・・・・・・」

 は菊丸の急な行動に戸惑ったように、恥ずかしそうに頬を紅く染める。

「英二。さんが困ってるだろう?ごめんね?」

 にこやかに英二を制した不二の背後には、なにちゃっかり手なんか握ってるのさオーラが立ちこめていた。

 その黒いオーラに気付いて、菊丸は自分の命を確保するための手を放す。

 ちゃんにマネージャーしてもらいたいのに、その前に不二に殺されちゃ意味ないニャ☆

「何も決めていないなら、彼女さえ良ければ、うちのマネージャーを試してもらっても問題無いんじゃないかな」

 乾が眼鏡を少し持ち上げながら賛同した。

 もちろん、試しなんかで終わらないようにありとあらゆる手段を今から計画しないとね。

「そうだね。うちなら仮入部期間ってことも可能だろうし」

「竜崎先生もきっとOKしてくれるんじゃないかな?」

 大石も河村ももちろん賛成である。

 できれば正式入部が嬉しいけど・・・・・・

 とりあえずは、ちょっとでも長く居れる時間が欲しいし。

「手塚ならちゃんと仮入部期間おいてくれるよ。ね、手塚

 不二はニッコリ笑顔で、一番の難所を陥落させようと企てることも忘れない。

 っていうか、どんなことしてでも仮入部期間は置かせるけどね。

「仮入部期間を置くのは構わんが。それを試すか決めるのは俺じゃない」

 試してくれるだけでも、やはり嬉しいと俺は思ってしまうんだろうが・・・・・・

 手塚の決定権放棄の言葉に、全員の視線がに注がれる。

 

「え?」

 

 はキョトンとして、6つの視線に小さく首を傾げた。

 なんで私は、皆さんから注目されているんでしょうか・・・・・・?

「全員一致で君に、うちのマネージャーを試してみない?って誘ってるんだけどネ♪」

 微笑む不二の言葉を、は思わず聞き返す。

「私をですか?!でも、マネージャーってしたことないですし」

 務まるとは思いませんと苦笑するに、次々と説得の言葉が降りかかる。

「分からないことは聞いてくれれば何でも教えるよ。俺に分からないことは無いからね」

 もちろんこれは乾。

「そうだよぉ!ちゃんが困ってたら絶対俺が助けるし!」

 ひょいっと抱きつきそうな菊丸を、さりげに押しのけて不二がにっこりと微笑む。

「もちろん、困らせるようなことは僕がさせないけどね」

「俺で手伝えることなら、手伝うし……」

 なにげに河村も付け加える。

「どうかな?さんさえよければ、うちのマネージャーを試してみない?」

「試して続けられそうにないなら、正式入部せずとも構わない」

 そう大石と手塚が駄目押し。

 全員の意見をは頭の中で整理する。

 そこまで言われてしまうと、断る理由が・・・ナイ。

「えと……私でよければ、お手伝いさせてもらっても良いですか?」

 少しはにかんだようなその笑顔に、一同放心……

 唯一、の隣に居た手塚はその笑顔を見れずに、内心歯噛みする。

 しかし、当然のようにその無表情から読み取ることは出来ない。

「……じゃあ、さんは今日からうちのお試しマネージャーっていうことで良いかな?」

 不二の再確認に、は「ハイ、がんばります」と頷く。

 

「いやった!」

 喜んだ菊丸が、アクロバティックを発揮して不二の後ろから抜け出しに抱きつく。

 
 

「きゃっ!」

 

「菊丸!!」

「「「「英二!!」」」」

 
 

 が驚いて声をあげるのと、菊丸への抗議の声が重なる。

 あっという間に菊丸は、不二と大石によってから引き剥がされた。

「離せぇ〜!」

 大石と河村に捕まえられてジタバタと暴れる菊丸に、不二がクスっと微笑みかける。

「ダメだよ。英二、離したらまた抱きつきにいくでしょ?」

「い、いかない…よ?」

 へらっと笑う菊丸に、乾が眼鏡を光らせる。

「英二がそう答えた時に、その言葉を実行したことはないね」

「ねぇ、英二。さんを困らせないって言ったよね。なんなら一回泳ぎに逝って来る?」

(怖いにゃ〜〜〜〜〜!)

 顔面蒼白で動かなくなった菊丸に不二は満足そうに微笑んで、のほうにクルリと振り返る。

「驚かせちゃってごめんね?」

「あ、いえ。平気です」

 天下の不二スマイルも、天使の微笑みの前では無力だ。

「菊丸先輩、大丈夫でしょうか?」

 は隣の手塚を見上げる。

「いつものことだ。大丈夫だから気にするな」

 そう、自業自得なのだから。

「そうなんですか。皆さん仲がよろしいんですね」

 

(((((ソレ多分、論点違うから;))))))

 

 まったくもって的外れの言葉をつむぐ少女に、皆が苦笑。

 でも、それが彼女なのだと納得して、またそこが可愛いと思えた。

 そして明日からは、部活中一緒にいられるという現実が今は何より嬉しいレギュラー陣であった。

 
 
 
 

 〜 Fin 〜

 

反省文。

これも修正アリバージョンです(笑)むしろ、話し違うカモですけど(笑)

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