| ウソはホント ホントがウソ 隠れた真実は、誰も知らない 仮面の貴公子 春は嵐――― 氷帝学園のテニスコートでも、春の嵐が今まさに吹き荒れようとしていた。 「。。。声?」 部室へ入ろうとして鳳と日吉は、足を止めた。 授業が早めに終了したので早く着替えて準備をしようと部室に来たのだが、部室の裏手の方からなにやら話し声が聞こえる。 しかも、部室の近くにあるコートは、レギュラー専用。 一般部員がそのコートに入ることは、よほどでない限り許されておらず、かくいう鳳も日吉も、まだそのコートに立ったことは無い。 そんなコートから声が聞こえてくるということは、レギュラーの先輩方の誰かなのだろうが・・・ 普通ならば、まだ授業中なはず。 「日吉。見に行ってみないか?」 「何で?」 「気になるから、だよ」 そうニッコリ微笑んで、鳳は部室の裏手に回る。 日吉は同級生の行動に小さく溜め息をつきながらも、鳳の後ろにつづいた。 鳳と日吉がコートが見える場所まで来ると、やはりコートにはレギュラージャージを着た3人の先輩がいた。 「あぁ・・・なんだ。やっぱり3年の先輩達か」 「・・・知らないヤツもいるぞ」 コートの奥に一人立つ人物を見て、日吉が指摘する。 3年の先輩達は、鳳達のいる場所からは背中しか見えない。 「ん?あぁ。。。そう、だね。あっち側にいる人は見たこと無いな」 一応、コートに部外者の立ち入りは厳禁とされている。 レギュラーコートなら、それは尚更のこと。 そんなことぐらい、レギュラー達が知らないわけも無いのだろうが。 二人して内心首を傾げた時。。。 「では、始めましょうか?先輩方」 そうコートの奥側でニッコリと微笑んだのは、真新しそうな制服を身に纏った男子生徒。 遠目にも、その整った顔立ちが見て取れた。 「フンッ。余裕かましてられるのは、今のうちだけだぜ」 あまり品の良いとは言えない言葉を返すのは、3年のレギュラー陣の一人。 一人がそのままコートに残り、残りの2人は審判の位置に立つ。 「なぁ。。。コレって試合、だよな?」 「だろうな」 「私的な試合・・・だよな?」 「お前、これのドコが公的な試合に見えるんだ?」 片方は明らかに部外者。 しかも、制服のままだ。 そう思って眺めていると、試合は始まった。 「ほら、いくぞ」 サーブが速いと有名な先輩が打ったサーブに、見知らぬ男子生徒は動かない。 動かないというより、ラケットを左手に持ったまま、ただ立っているだけだった。 「・・・もしかして、テニスしたことないのかな?あの人」 知らない人物の心配までするあたりが鳳らしいといえばらしい。 しかし、どうやらソレは日吉も同じらしく、不機嫌そうな表情を隠さなかった。 「弱いものイジメて、どうするんだ・・・」 礼儀を重んじる古武術を扱う日吉として、弱者を攻撃するのは許しがたい行為なのだ。 見知らぬ人物はまったく動かず、あっという間に1ゲームが終了する。 もちろんカウントは、見知らぬ人物のストレート負け。 「あっれ〜?あまりに速くてうごけなかったのか?」 一人の先輩が、からかい口調で言うと、見知らぬ人物はニコリと微笑んだ。 「そうですね」 「っていうか、お前。テニスしたことないじゃねぇのか?なんなら、ラケットの持ち方から教えてから試合してやってもいいぜ?」 主審として立っている先輩が、バカにした口調で告げる。 「大丈夫です。良かったら、このままお願いします」 見知らぬ人物は、相変わらず微笑んだままだ。 「あっそ。俺達は別にかまわねぇけどな?負けて困るのは、お前なんだからよ」 「そうですね。ご心配、感謝しますよ」 「ほら、お前のサーブだ。サーブは、ちゃんとネットを越えるように打つんだぞ」 「ありがとうございます」 ボールを投げ渡した先輩にお礼を言って、見知らぬ人物がサービスラインに立つ。 「あの人、サーブとか打てるのか?っていうか、あんな細そうな腕だと、ラケットでも充分に重いんじゃないかな?」 不安げに鳳が呟く。 「ソレもだけど、フォルトしないようにできるのかも問題だろ」 すっかり日吉も心配モードに突入している。 「じゃあ、いってみましょうか?」 ニッコリと微笑んだ見知らぬ人物は、高くトスを上げると、打点の一番高い場所で思いきりラケットを振りぬいた。 「「「「「?!」」」」」 ボールは高速でサービスライン上に落ち、イレギュラーバウンドしてコートの外に転がる。 対戦相手である先輩は、一歩も動けなかった。 「・・・凄い、な」 「あぁ・・・」 日吉と鳳の目の前で、3年のレギュラーが惨敗したのだ。 しかも、相手は制服という動きにくい格好で。 「さて、今のポイントで俺の勝ちですよね?」 汗一つかかずに涼しい顔で、見知らぬ人物が微笑んで先輩に訊ねる。 「こ、今回は見逃してやるッ!」 そう言い捨てると、3人の先輩は逃げるようにコートから立ち去っていった。 その後姿を見ながら、彼は大きく溜め息をつく。 「まったく・・・。ムダな労力を使わせてくれたな。―――そうだ」 見知らぬ人物は、思い出したように鳳達のほうに近づいてくる。 「「!」」 驚く鳳達とは対称的に、見知らぬ人物は二人の前に立つと、ニコリと微笑んだ。 「失礼ですが、何年生ですか?」 涼やかな声に一瞬聞き惚れたが、慌てて鳳が頷く。 「い、一年です」 「そうか。年下、か・・・。悪いんだが、今のことは忘れてくれないか?そのほうが、君達のためにもなるだろうし」 1年である自分達を『年下』と言い、3年の先輩達を『先輩』と言うのだから、コノ人は2年だということになる。 「どうしてですか?」 年上ということで敬語で日吉が訊ねると、彼は苦笑した。 「天下の氷帝学園テニス部レギュラーが、一般生徒に負けたなんて醜聞以外のなにものでもないだろ?」 「一般生徒は、あんなにフォームが綺麗じゃないですし、テニス自体も上手じゃないですっ!」 力説する鳳に、日吉も頷く。 「テニス部員じゃないんだから、一般生徒に決まってるんだが・・・。まぁ良い、忘れたほうが君達のためになるのだけは事実だ。 少なくとも、あのレギュラーにとっては屈辱的なコトだろうからな」 冷笑したかの表情は、一瞬で消え去ってしまった。 「まぁ。。。そう・・・ですよね」 「だから、知らないふりをしてやるといい。じゃあ、俺はこれで失礼するよ」 そう言って歩いていこうとした彼を、鳳が慌てて呼び止める。 「・・・あ、あの!すみません。お名前、聞いても良いですか?あ、俺は1年の鳳長太郎って言います」 足を止めて振りかえった彼に、日吉もペコリと頭をさげた。 「1年の日吉若です」 「あぁ、すまない。言い遅れたが、2年のだ。悪いが用事があるから、これで」 そう優雅に微笑んで、はコートから立ち去っていった。 しばらくその背中を見送っていた鳳が、ポツリと呟く。 「なぁ、あの人見たことないよな?」 「・・・ないな」 「制服、新しいカンジだったし。。。」 「外部からの転入生・・・ということもある」 「だよね」 エスカレーター式の氷帝学園。 幼等部から同じメンバーなのだから、さすがになんとなく全員見たことのあるというくらいにはなる。 「また。。。会えるといいな。。。」 鳳の言葉に、日吉も小さく頷いた。 あの綺麗なフォームと圧倒的な強さ。 そして涼やかな凛とした声。 一度会ったら、忘れることなど無いオーラを纏っている・・・ そんな彼は、日吉と鳳の心に鮮やかに焼きついた。 〜 to be continued later 〜 − next − |
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| □ 反省文 □ えっと。。。うん、意味不明ですね(笑) そして学びました。 後編は。。。もしかしたら視点かわってるかもしれないですね(ニコリ/マテ) |
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