『青空のように……』
 
 

   青空のように

   こんなふうに 穏やかに

   過ごしていたいと思っていた

   君と一緒に いつまでも

   叶わないと知っていた

   あの寒い季節……

 
 
 

 最近の手塚が、微妙におかしいと思ったのは、何も僕1人だけじゃなかったはずだ。

 部の大半の人間が、手塚の変化に気付いていただろう。

 ただ、四六時中そのことを気にしてしまうのは、多分僕くらいで……

 そして極めつけは、昨夜遅くにかかってきた一本の電話だ。

 おかげで睡眠不足な僕は、練習でミスを連発し今日は散々な部活だった。

 居残りの練習を終えて部室に戻ると、まず人がいたことに僕は驚いた。

「!!」

 更に僕を驚かせたのは、机に突っ伏して寝ているであろう手塚の姿である。

 静かに部室の扉を閉めると、ゆっくりと机に近づく。

 机の上にはノートが開かれていて、彼が今度のランキング戦の対戦表を作成していたことが分かる。

「手塚?」

 肩に手をかけて、静かに呼びかけると、すぐに手塚は顔を上げた。

「…あぁ、不二。終わったのか?」

 今まで寝ていたとは思えない反応に、僕は少し驚いた。

「終わったよ。ねぇ、寝てたわけじゃないの?」

「少しウトウトしてしまったようだ。対戦表を作成していたんだが……」

 寝起きでこの反応というのは、少々つまらないが、手塚らしいと妙に納得してしまう。

「何か問題でも?」

「いや、問題はない。いつも通りだ。問題があるのはランキング戦ではなく、不二のほうだろう。

今日はどうしたんだ?不二らしくないミスばかりだったぞ?何か悩みでも?」

 手塚はノートを閉じ、隣に立つ僕を見上げた。

 僕の悩みの元凶に、悩みを聞かれるというのも妙な感じだ。

 それに、手塚本人がまったく気付いていないというのが、少々腹立たしくなった。

「別に。僕より、手塚のほうがどうかしたんじゃない?」

「何がだ?」

 見当もつかないという顔で、眉を顰めて手塚は僕を見つめる。

「気付いてない?最近、僕を含め部のみんなが気にしているのは君の変化だよ」

「俺の、変化?」

 少し驚いたように、手塚は瞳を見開く。

「そう。でも、正しく言うと不機嫌っていうのかな?君は気付いてないだろうけどね」

「不機嫌?」

 手塚は、訝しげに眉を顰めた。

 僕の知る限り、手塚が無意識に公私混同をしてしまうような・・・

 それだけの影響力をもつ人は一人しかいない。

「ケンカしたんだ?」

「……一体、誰とケンカをするんだ?」

 手塚は呆れたように、小さく溜め息をつく。

「とぼける気?でも、無理だよね。手塚って分かりやすいから」

 無表情と名高い手塚でも、恋の力からは逃れられなかったみたいだ。

 彼の前では、表情は普段と変わらないものの周りの空気は一変する。

「だから何のことだ?」

 手塚は、不機嫌そうに僕を見た。

 本来なら、僕が機嫌を悪くする立場だとは思ったけど、あえて口に出さなかった。

 その代わりというわけではないけど、僕は小さなウソをつく。

「……昨夜遅く、家に電話がきたよ。怒らせてしまったんだけど、

謝るタイミングが無くなってしまって困ってるって」

 こんなこと、言われたわけじゃない。

 本当は『手塚の様子はどうか?』って聞かれただけだった。

 でも、それで僕は分かってしまった。

 ここ最近の手塚の不機嫌な理由。

「……そうか」

 手塚はそう一言呟いただけ。

 声のトーンで、なんとなく怒っているのが分かる。

 彼が関係しないと、君が素直になることは無い―――

 分かっていたはずなのに、事実だと改めて認識するのは辛い。

 僕は内心溜め息をつきながら、電話で彼に提案した言葉を口にした。

「それで、少し遅い時間なんだけど、明日の夜10時。君の家の近くに公園があるだろ?

そこで待ってるって。話しをしたいから来て欲しいんだって」

「……アイツが、そう言ったのか?」

「そうだよ?当然じゃないか」

 にっこり微笑む僕をチラッと見て、手塚は軽く頷いた。

「分かった……。伝言、わざわざすまなかったな」

 そう答えた声で、僕は明日から普段の手塚に戻ることが容易に分かる。

 嬉しいような嬉しくないような、複雑な気分だ。

「気にしなくていいよ。…あ、もうこんな時間だね。手塚、戸締りは僕がしておくから、先に帰りなよ。

君のクラス、明日一限って数学の小テストだろ?」

 このまま、手塚と一緒にいるのが少し辛くて、僕は帰宅を促した。

「あぁ、確かに。しかし、そんなに時間が―――」

「眠かったんでしょ?今日は、帰って勉強して、少し早めに寝ることをお勧めするよ」

 反論しようとした手塚に、僕は有無を言わせない勢いで畳み掛ける。

「……分かった」

「大丈夫、任せておいて」

 僕はにっこり微笑んで、手塚の差し出した部室の鍵を受け取る。

 机の上にあったノートを持って立ちあがり、手塚は自分のロッカーを開けバックを取り出す。

 そして、バックにノートを仕舞い肩に掛けるとロッカーを閉めてから振り返った。

「……不二も、早く帰るんだぞ?」

「はいはい、分かってるよ。じゃあ、お疲れ様。また明日の朝錬でね」

「あぁ、お疲れ。また明日……」

 笑顔で見送ると部室の扉が静かに閉まり、僕の視界から手塚が消える。

 その瞬間、肩の力が抜けるのを感じた。

 知らず知らずのうちに、緊張していたみたいだ。

 僕は思わず、深く溜め息をついた。

「ハァ……」

 手塚が幸せになってくれるのは、とても嬉しい。

 でも、手塚を幸せにするのは僕じゃなくて、『彼』だ……

 いつからそうだったのかは、よく分からない。

 別に分からなくてもいい。

 重要なのは、手塚が好きなのは『僕』じゃないという事実だ。

 それでも良いと、思うようにした。

 昨日の電話で、僕はその覚悟を決めていた。

 だって、手塚はどんなことがあっても、彼を選ぶだろう?

 どんなことをしても、彼の手を取るだろう?

 そして、握ったその手を決して離すことはないだろうから……

 
 

 それが僕の知っている手塚だ。

 …それが僕の好きな君だ。

 
 

 だから……

 僕は、君の幸せを近くで見守ることができれば、それでいい。

 ただずっと、それだけいいんだ―――

 
 
 

 〜Fin〜

   

反省文。

青空のように……は、詩が先にあって、それから考えた内容ですので、少々無理やりだったかなぁと思ってます。
ちなみにこの詩は、学校にも提出しました(爆)
題名と同じ曲がありますけど。。。マイナーだし昔なので知っている人はいないでしょうから、問題無いです(オイ)
知ってる、又は好きです・・・という方、ご一報下さい(笑)ちなみに、俺はコーラスも歌えます(何)

管理人の白不二のイメージ的にはこんなカンジです(笑)
なんか、健気なカンジと言うべきでしょうか??一途なカンジが白不二なんです(ぇ)
でも、健気過ぎるのも・・・イヤですよね(苦笑)
俺は。。。どうかな?多分、一途です(爆)
ただ、白不二のような考え方はしてませんので、前向きです(謎)