綺麗なあの人

 高潔なあの人

 それは、生まれた時からの決まり・・・

 
 
 

 天使の生まれた日

 
 
 
 

 時刻は午後7時過ぎ。

 遅すぎると言うわけではないが、十二分に周囲は暗い。

 同じ方向ということで、大抵は手塚がマネージャーであるを家の御近所まで送るのが相場だ。

 しかし、今日はバス停と駅前に行く道との三叉路で、は立ち止まった。

「部長、すみません。今日はこっちから帰るので・・・」

 滅多にないその言葉に、一瞬手塚は驚いた。

 ここで立ち止まるということは、駅の方に用事があると言うことなのだろうが―――

 の表情には『理由を聞かれませんように〜;』と書いてある。

 素直なのも、問題だな。

 理由を聞かれたくないのだと判ってしまっている以上、追求するわけにもいかない。

「・・・そうか」

 若干不本意(笑)だが、手塚は頷くことしかできなかった。

 安心したように、の表情が一気にぱーっと明るくなる。

「はい!では、また明日の朝練でお会いしましょうね♪」

「そうだな、気をつけて帰るんだぞ」

「ご心配ありがとうございます、部長。お疲れ様でした!」

 そうニッコリと微笑んで、はくるりと背を向けて歩き出した。

 
 
 

 駅前の広場には、待ち合わせの相手が既に来ていた。

 かなり大勢の人で混雑しているにも関わらず、その人の周りだけ世界が違うように人が避けていく。

 それも当然だろうなぁ。。。

 あんなに綺麗なんだもん。

 見惚れかけて一瞬止まった足を動かして、は待ち合わせ相手に近寄る。

「ごめん。待たせちゃった・・・よね?」

「あ?そんなに待っちゃいねぇよ。気にすんな」

「でも、折角青学の近くで待ち合わせてくれたのに・・・」

 申し訳なさそうに「ごめんね?」と謝るに、待ち合わせの相手・跡部景吾はニッと微笑む。

「バーカ。俺様が良いって言ってんだから、気にすんなよ」

 そう言って、跡部はの頭をポンポンと軽く撫でた。

「ありがと、景吾君」

 ニコっとは微笑を浮かべる。

「さて、行くか。親父達が待ってんだ」

「おじ様もおば様もお忙しいのに、お待たせしちゃって申し訳無いなぁ」

「んなの気にすんな。親父達もに会えるの楽しみにしてるんだからよ」

 ま、俺様が一番楽しみにしてるんだけどな。

 今日だけは特別だから。

「うん、私も楽しみ♪」

「じゃあ、さっさと帰るぜ」

 跡部はエスコートするように左腕を差し出して、はクスクスと微笑んでその腕をとる。

 その感覚に、どこか懐かしさを感じながら2人は駅に向かって歩き出した。

 
 
 

 楽しい食事も終わり、リビングから出られるバルコニーで跡部は月を眺めていた。

 はというと、まだ跡部の両親との談笑を楽しんでいる。

 この日は毎年そうだった。

 跡部自身がいて、両親がいて、そしてがいる。

 また同じように、こんな時間が迎えられることを、跡部は誰かに感謝したい気分だった。

 が氷帝を去った時、2度とこんな時間は持てないと思っていた。

 いや、実際に不可能だっただろう・・・が望まない限りは。

 それでも、今年も跡部の隣にはいた。

 普段は一緒に居れなくても、今日だけは―――

 
 

 そんなことを考えていると、一陣の風がふいて、跡部の色素の薄い髪をなびかせる。

「天使・・・みたいだね」 

 いつのまにか後ろに立っていたに、跡部は怪訝そうな視線を送る。

「あ?」

「景吾君の髪がキラキラして、天使みたいに綺麗だったの♪」

「何言ってんだか・・・」

 苦笑する跡部に向かって、「ホントだよ」とは微笑む。

 いつも綺麗で、ステキでカッコ良くて。

 高みを目指している人にしかない空気を纏える人だもの。

「はいはい。がそう言うなら、そう言うコトにしといてやるよ」

「そうしておいて♪」

 満足そうに笑うにつられて、跡部も微笑みを浮かべた。

 天使っていうのは、みたいなことを言うんだぜ?

 可愛くて綺麗で。

 誰にでも、優しすぎるほど優しい・・・自覚無いだろうけどな。

「そうだ!・・・ハッピーバースディ、景吾君」

 ラッピングされた小さな小箱を、は跡部に差し出す。

「サンキュ」

 嬉しそうに受け取った跡部は、断りもせずにラッピングを丁寧に外していく。

「へぇ・・・銀の翼のストラップか」

 跡部は、箱からそっと取り出して目の前にかざしてみる。

 月明かりが反射して、銀の翼はより美しく見えた。

「今年は絶対にコレって決めてたんだ・・・」

「何でだよ?」

 不思議そうな跡部の言葉に、はニッコリと微笑む。

「10月4日は天使の日なんだって。景吾君が生まれた日にピッタリだと思ったよ」

「それで・・・?」

「・・・生まれた時から景吾君には翼があるけど、もうひとつ翼があったら・・・もっと高く飛ぶ時に、

ちょっとでも手助けになればって思ったんだ」

 もう、氷帝に居た時みたいには手伝えない。

 私の代わりに、景吾君を助けてくれそうな気がしたから―――

「俺は―――が祈ってくれるだけで、それだけでもっと高い所までいけるぜ?」

 隣に居てくれなくても、お前が俺が頂点に立つことを願う限り。

 俺はどこまでも、高く・・・その高みを目指して飛べる。

「もちろん祈るよ。景吾君の望みが叶うように・・・」

「これからもずっと?」

「うん、ずっと♪」

 ニッコリと言い切ったに、跡部は心底嬉しそうに笑った。

「・・・ありがとう」

 そう言っての額に、軽くキスを落とした。

「け、景吾君!!」

 紅くなって睨みつけるに、跡部は不敵に笑う。

「俺様からの礼だ。そうだ。。。、いつものプレゼントはくれないのか?」

「う・・・やっぱいる??」

 はちょっと困ったように、上目遣いで跡部をチラッと見た。

 予想済みの視線に跡部は悠然としている。

「当然だろ」

「当然。。。かなぁ?」

「決まってるだろ」

「むー・・・」

 なだめられるような跡部の声に、は観念した。

 もとより、毎年恒例なのだ。

 

「・・・おめでとう、景吾君////」

 

 恥ずかしそうに身体を離すに、跡部はニっと笑う。

「これで今年も、幸運の女神の加護が頂けたな」

「・・・ほっぺにチュって、恥ずかしいんだけど;

 そう、毎年恒例行事(笑)

 誕生日にはが頬にキスをする・・・という、幼等部からの約束だったりする。

 しかも、年齢が上がるにつれ、は照れてしまって仕方ない。

 それが可愛くてしかたない跡部である。

「ま、俺様の頬にキスできるのはぐらいんなんだから、光栄に思っておけよ」

「光栄は光栄だけど・・・恥ずかしいのは、恥ずかしいんだから。まぁ、結構慣れたけど・・・」

「そりゃ毎年してるからな」

「うーん。それもだし、侑士君とかにもしてるし」

 

「・・・は?」

 

 あまりに突然な言葉に、跡部の思考回路はショート寸前(笑)

「え?」

「今、何って言った?」

「結構慣れたけど・・・??」

「その後」

「え??侑士君とかに。。。どうしたの、景吾君??」

 跡部の質問の意味が分からず、は首を傾げる。

 もちろん、跡部から発するダークオーラに気付くわけも無い。

「へぇ・・・忍足とかにねぇ」

「うん。景吾君の誕生日に何をプレゼントしてるのかって話しになってね?

それで、その。。。ほっぺにチュしてる…って言ったら、景吾君だけズルイってことになって・・・」

 忍足とかってことは、要はアイツら全員ってことだな。

 全員、明日の練習では・・・破滅を見るが良い!

 無論この瞬間、氷帝レギュラー陣全員が悪寒を感じたのは言うまでも無い。

 
 
 
 

 〜Fin〜

 
     

     
  ■ 反省文 ■

鯖ちゃんの都合で、やっとアップできましたぁ☆
っていうか、書き途中だったから一生懸命書いたんですけど(笑)
かなり遅くなりましたが、誕生日オメデトウ!跡部様( ^_^)o−o<※ ☆ パンッ

10月4日は天使の日・・・らしいです。私の通う病院の看護師さんが教えてくださいました♪
そんなステキな日に生まれちゃった跡部は、そりゃステキですよね.....φ( ̄∇ ̄*)VV
でも、そんな貴方様にあうドリームが書けなかった私には、天使のような優しさで許してネ(逝って良し)

 
     

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