| 意志の強さと 優しさを併せ持つ お前が俺の――― 勝利の女神 桜舞う春。 桜の咲く木の下で、俺はお前と初めて出会った。 「・・・知っているか?桜の木の下には死体が埋まっているそうだ。 その死体の血の色が薄れて、桜は薄紅色の花びらをつける。 そして、その死体の為に桜の木が嘆き悲しみ花びらを散らすんだそうだ。 まるで涙のように…な」 そう漆黒の長い髪を風になびかせながら、お前が振り向いた。 今にも泣きそうなあの表情を、俺は一生忘れはしないだろう。 あの時と同じ桜の大樹の下。 また2人で佇んでいる。 「。 そろそろ戻らなければ・・・」 「分かっている」 頷くものの、はその場を動こうとはせず、桜の大樹を見上げた。 「」 「・・・なぁ、弦一郎。私も―――いや、なんでもない」 は、自嘲するように言葉を濁す。 言わずとも、俺には分かった。 「負けはしない、絶対に」 「当然だ」 キッパリと言い切るに、逆に俺が苦笑してしまう。 俺よりも、幸村よりも、本当にのほうが王者立海の掟を遵守している。 「私がいないからといって、負けようものなら・・・キライになるからな」 「それは困るな」 「ならば、負けは許さない。私が戻るまで、一つでも負けることは・・・」 「あぁ、約束しよう」 宣言した俺に、は嬉しそうに微笑む。 「では、弦一郎。そろそろ行ってくる」 見送りは不要だと一人桜の木から離れる。 そう、見送りなど必要ない。 必ずまた、戻ってくるのだから・・・ 「今日だっけ?さんが発つのは」 「あぁ、もう発ったはずだ」 と別れたその足で、俺は幸村の病室を訪れた。 「やっぱり行かなかったんだ?」 「不要だと、先に言われた」 「さんらしいね」 クスと笑う幸村に、俺は頷く。 「さんが頑張りに行くのに、部長の俺が頑張らないわけにはいかないな」 「アイツとお前とでは違う」 「でも、頑張らなきゃいけないのは変わらないよ」 そう言う幸村は、とても静かな表情をしていた。 と同じように・・・ 「2人とも、早くコートに帰れるようにそれぞれ努力する。それだけだろう?無理と頑張りは違うぞ」 頑張り過ぎでコートに帰れなくなることだけは、どんなことをしても避けてもらいたい。 言外の意味に気付いて、幸村はニコッと微笑んで頷いた。 「うん、そうだね。・・・そういえば、大会のことで何か言われた?」 「相変わらずだ。『負けは許さない』だそうだ」 「俺より手厳しいね。本当に一敗もできないね・・・」 部長である幸村や、副部長である俺は当然のことだが、それよりも一番厳しいのはだ。 「に言われずとも、負けるつもりなど毛頭無い」 王者立海は、負けてはならんのだ。 負けた時点で、王者と言うことはできない。 常勝が王者の証であり、義務なのだ。 「それに、約束だしね」 「あぁ。約束を破るのは性にあわん」 そして、今回はまた特別だ。 の為であり、また自分の為にも決して負けられない。 「とにもかくにも、全国大会で優勝するまで、負けが許されないのは変わらない」 「分かっている」 が戻ってこれるのは全国大会の頃。 それより前に帰ってくることは、多分不可能だろう。 ならば、必ず全国までコマを進めておかなければならない。 の悲しむ顔など見たくないし、もしが戻れずとも、無様な報告だけは出来ない。 「俺もそれまでに復帰できれば良いんだけど・・・」 「そうなれば嬉しいが、ムリはするな」 「そう、だね。ムリはしないけど、頑張るよ」 「焦るな。何事も体が第一だぞ」 「そうだね。うん、ありがとう」 そう言って、幸村はニッコリと微笑んだ。 「では、そろそろ練習に戻る」 「うん。皆によろしくね」 「分かった。では、また今度」 更に負けられなくなった今、練習メニューの改善が必要だろう。 早々に戻って、蓮ニと相談しなければ・・・ 幸村の病室を後にすると、俺は大急ぎでグラウンドに戻った。 が発ってから、立海は順調に大会を勝ちあがっていった。 そしてついに、関東大会。 決勝戦の相手は、青学。 手塚を欠いてのオーダーだが、油断はできない。 決勝戦前にはミーティングを開き、万全を期しなければいけない。 「・・・ということだ。なので・・・・」 蓮ニが対青学についての最終確認を、レギュラー陣に伝える。 「あ!!」 皆が静かに聞いている中、急に赤也が声を上げた。 「赤也、静かに聞くことはできんのか?」 溜め息交じりに告げるも、赤也からの返答はない。 怪訝に思って赤也を見てみると、ぽかんと口をあけたまま、ある一点に視線が集中していた。 「・・・さ、真田副部長っ!!」 赤也の指差すほうへ、全員の視線が自然と向く。 並木道をこちらに歩いてくる人影。 「間に合ったみたいですね」 「さすがよの〜」 「天才的じゃん♪」 「良かった、良かった」 「間に合う確率、10%にも満たなかったんだけど・・・嬉しい誤算だったな?弦一郎」 「そのようだ」 視線の先には、揺れる長い漆黒の髪。 その意志の強い瞳は、まるで黒曜石の輝き。 「待たせたな」 微笑は、薔薇の如く。 「王者立海に、敗北は許されない。誰一人として、負けは認めない」 紡ぐ言葉は凛と心に響く。 「「「「「「はいッ」」」」」」 「弦一郎。約束を覚えているか?」 忘れるわけがない。 の言葉ならば、一字一句記憶に刻み付けている。 「あぁ」 頷く俺に、は満足そうに微笑む。 「ならば、約束を違えることのないように」 「無論だ」 微笑みながら応えて、俺は皆と共にコートへ向かった。 そう――― 全ての勝利は お前だけの為に・・・ 春雨のような無数の勝利を 勝利の女神たるへ奉げよう 〜Fin〜 |
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| □ 反省文 □ 初・真田どりーむ(笑)恐ろしいです、いやホントに; 実は、この主人公ちゃん。立海の逆ハー設定で連載しようと思ってた主人公の設定で書いてたり。。。 |
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