どんなものでも

  好きな人からの贈り物は

  大切なもの

  愛がこもっていれば、それは尚更……

 
 
 
 

 プレゼント大作戦

 
 
 

 いつものように私は、旧校舎の1階にある音楽室でピアノを弾いている。

 何曲か弾き終わったとき、いつも通り音楽室の扉が静かに開いた。

「おはよう、。邪魔にはならなかったか?」

「おはようございます、手塚先輩……って、どうかしたんですか?!」

 いつもの決り文句で音楽室に入ってきたのは、いつも通りの手塚先輩。

 でも、いつもと違って真っ直ぐに私のほうに歩いてくるといきなり抱きしめられる。

「この間はすまなかった」

「え?あ、土曜日のコトですか?」

「あぁ」

 頷いた先輩に、私は慌てて身体を離して否定した。

「アレは、私のワガママですから!……先輩が謝らないで下さい。むしろ、私が謝らなきゃいけないんです。ごめんなさい」

「しかし……」

 納得いかない様子の先輩に、更に言い募る。

「私のワガママなんです。だって、先輩に話しを聞きもしないで先に帰っちゃったんですから……」

「怒らせるようなことをした自覚はあるんだが―――」

 そう苦笑する先輩に、私は正直に口を開いた。

「最初は怒りましたよ?っていうか、何であそこで扉を閉めたのか分からなくて……」

「あれは……」

 口を開こうとした手塚先輩の口を、私は笑って軽く押さえる。

「でも、それで先に帰ったのは、間違い無く私のワガママですよね?だって、先輩の帰りを待って聞けば良かったんですから」

 ニッコリと笑った私をみて、先輩は何か言いたそうだけど手は外してあげない。

「だから、土曜日は私が悪かったんです。―――で、今聞いて良いですか?アノ時、どうして扉を閉めたのか……」

 そう言って手を離すと、その手を先輩に捕まえられる。

「あの時の来客は、その…俺に告白してきた生徒の友人で……。なんと言うべきか…告白の話しとか…そういう話しは、

出来ればに聞かせたくなくて……」

 照れながらも、先輩は正直に話してくれた。

 ホント、跡部さんと侑士にぃの言った通りだった。

「先輩……あの、ワガママ言っても良いですか?」

 真っ直ぐに見つめると、先輩は首を小さく傾げながらも頷く。

「?…あぁ」

「私は、先輩のことならどんなことでも知りたいです。その…告白されたっていう話しとかでも…

あんまり聞きたくはないですけど、知らないよりも知っていたいです」

 そう告げると、一瞬驚いた顔をしたけど、先輩はすぐに微笑んでくれた。

「それなら、俺も知っていたい。のことなら、どんな些細なことでも知っている自分でありたい……。

今後、俺も隠すようなことはしないから、もしないでくれると嬉しいのだが?」

 手塚先輩の提案に、私はニッコリ笑って抱きつく。

「もちろんです」

「ありがとう」

 嬉しそうに答えて先輩は、私をぎゅって抱きしめてくれた。

 
 
 
 

 「うーんと……」

 さっきから同じようなところばかり、ショッピングモールの中をぐるぐる回っている。

 だってなんか良いものって思いつかなくて……

 チョコは嫌いだから問題外でしょ?

 だからといって、何かモノって言っても何?ってカンジだし……

「何が良いかな……?」

 うーん…誰か友達でも連れてくれば良かったカモ。

 1人じゃ思いつかないし、決められない。

、何やってんねん?」

「??」

 不意にかけられた声に、私は振りかえる。

 視界に映ったのは、美形で背の高い制服姿の従兄弟。

「あ、侑士にぃ!」

 私は小走りに近寄って抱きつく。

「よしよし」

 侑士にぃは、笑顔で私の頭を撫でる。

「こんなトコで、よく抱きつけるよな……。なかなか神経図太いんだな」

 侑士にぃの後ろから、呆れたように声を掛けてきたのは跡部さん。

「あ、え?あ、ついクセで……」

 私はエヘヘと笑いながら、侑士にぃから離れた。

「んで、何してたん?」

 その言葉にニッコリ笑って、私は侑士にぃを見上げた。

「ナイスタイミング、侑士にぃ!手伝って?」

「??何を?」

 首を傾げる侑士にぃに、目をキラキラさせてお願いポーズをとる。

「バレンタインの贈り物選び!」

「は?お前、まだ決めてなかったわけ?明日じゃん、バレンタイン……」

 更に呆れたように跡部さんに言われるけど、しょうがない。

 だって、色々悩んでたら買い損ねたんだもん。

「チョコ嫌いって跡部さんが教えてくれたのはいいんですけど……、

この時期にチョコじゃない贈り物探すのって、すっごく大変なんですよ?!」

 街中はバレンタイン一色……

 チョコ、チョコ、チョコのオンパレード!

「じゃあ、チョコにすりゃいいだろう?」

 即答した跡部さんに、私は苦笑するしかない。

「手塚先輩がチョコ嫌いって教えてくれたのは、跡部さんじゃないですか……」

「嫌いだとは言ったが、あげないほうが良いとは言ってねぇぞ?っていうか、その前に、手塚とは上手くいってんのか?」

 にやりと笑う跡部さんに、私はにっこりと微笑んだ。

「いってますよ?おかげさまで、ちゃんと仲直りできましたし……」

「そうか!良かったやん、

 侑士にぃが、私の頭をポンポンと撫でる。

「うん、良かったの」

 ニコニコと侑士にぃと微笑みあっていると、跡部さんに笑われてしまった。

「っていうか、お前ら本題忘れてるだろ……」

「あ!」

 私と侑士にぃが同時に声をあげる。

「お前ら、やっぱり従兄妹だな……。まぁ、いい。俺に良い案があるんだが……聞くか?」

 そう言った跡部さんは、ニヤリと悪巧みしていそうな顔だった。

「……侑士にぃ。コレ、聞いて大丈夫?」

 そう聞くと、侑士にぃは微妙に苦笑しながら頷く。

「うーん……ええんちゃう?」

 侑士にぃの言葉を信じて、私はちょっとおどおどしながら跡部さんに問い掛けた。

「えっと、どんな案ですか?」

「それはだな―――」

 心底楽しそうに語った跡部さんの提案を、絶対に聞かなければ良かった……って思ったのは後の祭だった。

 
 
 
 

 死ぬかと思った……

 跡部さんの提案で、強制的にチョコを作るハメになって、昨日のアノ後は悲劇だった。

 跡部さん曰く「チョコ嫌いでも、チョコが貰えれば嬉しいのは変わらない。っていうか、むしろ、

チョコ嫌いでも欲しいはず。彼女の手作りチョコレート!」

 本当に、聞かなければ良かった。

 料理上手の侑士にぃの指導で、チョコを作って作りまくって、ようやく上手に出来たのが朝の4時。

 おかげで寝坊した私は、やっとの思いで学校に登校した。

 まぁ、先輩の来る時間の前に来れたから、全然問題ないんだけどね?

 っていうか、コレで先輩が喜んでくれなかったら、私は跡部さんを恨むけど。

 
 
 

 いつも通りピアノを弾きながら、手塚先輩を待つ。

 1曲を弾き終わったとき、音楽室の扉が静かに開いた。

「おはよう、

「おはようございます、手塚先輩……凄いことになってますね」

 扉を開けて入ってきた先輩を見て、私は思わず苦笑する。

 だって、両手一杯に綺麗にラッピングされた箱とか袋を抱えていたんだもん。

「笑うな……」

「―――やっぱり人気ありますね、先輩は」

「別に、人気なんかあってもしょうがないだろう」

 ため息混じりにそう呟いて、先輩は机の上にその贈り物達を置く。

「そんなに綺麗なものばっかりだと、あげにくいなぁ……」

 だって、自慢じゃないけどラッピングとかって初めてしたし。

 それ以前に、チョコレート作ったのだって初めてだけど。

もくれるのか?」

 嬉しそうに微笑む手塚先輩を見ると、微妙に渡しづらい。

「一応作ってきたんですけど……あの、本当に!笑わないで下さいね?私、こういうの作るのって初めてで…

ラッピングとかも上手にできなくって……」

 バックの中にあるチョコの箱を探しながら、先輩に念を押す。

「笑うわけ無いだろう?」

 そう微笑む手塚先輩に、私はハイっとチョコの入った箱を差し出した。

「ありがとう。開けて良いか?」

「どうぞ」

 顔が赤くなるのをカンジながら、先輩の言葉に頷く。

 持ってくる時にも注意はしてたけど、偏ったりしてないと良いんだけど……

 先輩はリボンをスルッと解いて、ラッピングを丁寧に開けていく。

 箱を開けると、ちょっと不恰好なチョコレートが姿を現す。

 とりあえず偏っていないことに安心した。

「頂きます」

 手塚先輩は躊躇いも無く、パクっとチョコの一つを食べる。

「先輩、大丈夫ですか?」

「ん?何がだ?美味しいぞ?」

 そう微笑んだ先輩に、安心しつつも首を傾げた。

「先輩、チョコレート嫌いなんですよね?」

「え?あ…って、。それを誰に聞いた?」

 一瞬頷きかけた手塚先輩に、苦笑しながら聞かれる。

「えっと…従兄弟に……」

「従兄弟?」

 首を傾げた先輩に、私はエヘヘと笑った。

「えっとですね?私の従兄弟って実は……氷帝学園のテニス部にいる忍足侑士だったりしまして……」

「忍足の従兄妹?」

 驚いたように苦笑した先輩に、更に告げる。

「ハイ。それで、跡部さんからの情報ってことで教えてもらったんですけど……。

あ、それで、チョコはやめようと思ったんですよ?だって、嫌いなものをあげたくないじゃないですか?

―――でも、跡部さんに手作りチョコを貰って嬉しくないわけ無いって言われまして……」

 それで作ってみたんです…と笑うと、先輩が苦笑しているのが分かった。

「なるほど。跡部の提案で作ってくれたわけか……。ヤツの提案と言うところが少々引っかかるが、

の手作りチョコレートを食べれたのだから、感謝すべきなのだろうな」

 とりあえずは、私も跡部さんに感謝。

 もちろん、一緒にチョコを作ってくれた侑士にぃにもね。

「喜んで…もらえましたか??」

「もちろんだ。最高のバレンタインチョコレートだ」

 上目遣いで訊ねた私にそう微笑んで、先輩は優しいキスをくれた。

 
 
 
 

 〜 Fin 〜

 

反省文

ようやく完結しましたね・・・本当に、最後だけは手塚ドリームらしくなったので、微妙に安心しました(笑)
っていうか、氷帝の2人が大暴れですね、今回(爆)さすが、氷帝(関係無い)いや、キャラの性格の問題かな・・・
でも、今度は氷帝の人でドリーム書いてみたいですね。遊べそうです(爆)

― Back ―