そぐわない・・・・・・

 何でこんなに周囲から浮くのでしょうか??

 
 
 

 遊園地

 
 
 
 

 いや、原因は判ってるんだけどさ。

 原因だと思われる、隣に立つ人物の服を軽くクイッと引っ張る。

「あの、さ?えっと、無理して付き合ってくれなくても大丈夫だよ?」

 いつもの無表情を少し見上げるようにして見ると、苦笑されてしまったし。

「今更だな」

 た、確かにごもっともです。

 私達が今いるのは、有名なテーマパークの入場ゲート前。

 ココは混んでいるのが普通だから、開園前から並ぶのは常識だって言っても過言じゃない。

 今日だって、私達は開校記念日で休みだけど世間一般では平日なのに、長蛇の列だし。

 
 
 

 ちなみに、私達は結構ゲートに近い場所で、開園を待っている。

 そして一緒にいる国光のおかげ?で、私達は思いっきり違和感ありまくりだ。

「いや、そうなんだけどさ?あ…ほらっ!隣の駅にある水族館に行っても大丈夫だし」

「だけど、ココには来たかったんだろ?」

「う、うん。まあね」

 来たかったは来たかったんだけどさ・・・

 こんなに目立つとは思っていなかったんだって!

 カッコ良くてスタイル抜群の国光は、当然こんな場所でも目立つ!それは覚悟してた。

 っていうか、いつものことだから気にはならない。

 だけどね?皆が楽しそうにしているなかで、一人だけの無表情。

 そんなだから、微妙な視線が集中してしまうんだよね。

 そして悲しいことに、国光はそんな不躾な視線に気付く素振りもない。

「水族館に行きたいなら、また違う機会にでも行くか?」

「そだね。次のデートは水族館ね!」

 ニッコリと笑顔で答えつつ、全く見当はずれな国光の気遣いに、私は心の中で小さく溜め息をつくしかなかった。

 
 
 
 

 やっぱ、来る場所を選び間違えたかな?

 実は・・・割引券があるからってことで、国光を誘ったんだけど―――

 単に、少し遠出できれば良かっただけだったりするんだよね。

 もちろん来たくなかったわけじゃないよ?でも、絶対にってわけでもなかったんだよね。

 とにかく、いつもの場所だと何故か!必ずといって良いほど邪魔が入るんだもん。

 家のご近所とか、皆が良く行く場所だし仕方ないんだけどさ?

 でも、デートなんだから・・・皆、もっと気を遣ってくれたっていいじゃない。

 特に男子テニス部の連中!ただでさえ、国光を独占してるっていうのに―――

 休みの日ぐらい、私に独占させてくれたっていいじゃん!

 
 
 

 なーんて思ってる間に私達は入場して・・・あ、入ってしまえば問題無かった。

 皆、アトラクションとかに夢中で、他の人を気にしたりするヒマないし。

 もちろん、私も視線を気にするほどヒマじゃなかった。

 折角こんな場所に、珍しく国光といるんだから思いっきり楽しまないと損だ。

 国光も、最初はちょっと戸惑ってはいたものの、そこそこ楽しんでくれてるみたいだし?

 
 
 

 知り合いが居ないのを良いことに、私は国光の腕にぎゅっと腕を絡める。

 普段あまりベタベタするほうではないけど、今日はイチャイチャっていうかカップルっぽいコトがしてみたいんだよね。

「どうした?」

「楽しいなって思って♪」

「それは良かった。朝は少し乗り気じゃなさそうだったが、が楽しそうだから俺も楽しい」

「アレ?気付いてたんだ?」

 意外そうに答えた私に、それこそ心外だと言いたげに国光は答える。

「気付くさ。のことだからな」

 思わぬ国光の言葉に、顔が紅くなるのが自分で判ってしまう。

 なんで素でサラッとこういうコト言うかな・・・しかも、自覚無し。

 ま、そういうとこが好きなんだけど。

「エヘヘ」

 照れ隠しに笑顔を向けると、優しい微笑みを浮かべてくれる。

 こんな時間が、私にとって至福―――

 そう思った瞬間、何故か私の足が止まった。

「どうかしたのか?」

「いや、なんだろう。なんかね・・・」

 思わず周囲をキョロキョロと見渡す。

 何だろう?何か無視できないっていうか、何て言うか・・・・・・

 
 

「にゃはは〜!英二君の脅威の動体視力が捕らえたにゃ♪」

 
 

 この声、このセリフ―――もしかして!

「え、英二・・・?」

 聞き覚えのある声にゆっくりと振りかえってみると、案の定、見慣れた顔がひょこっと顔を覗かせた。

「ほいほ〜い」

 ニッコリ笑顔で手をヒラヒラさせてる菊丸英二の後ろには・・・

 神様、あんまりです!

 当然のように、男子テニス部の面々が勢ぞろい。

「こらこら、英二。邪魔しちゃダメだよ。手塚達はデート中なんだから」

 英二をたしなめる不二は、爽やかな天使の微笑を浮かべている。

 でも間違い無く!どう考えたって、これは不二の陰謀だと私は悟った。

 さっき私を足止めしたのは、不二のせいだ、絶対!

 こんなとこに来そうにない海堂君や越前君までいるなんて、絶対に不二が脅したに違いない。

 それか、不二に頼まれて、乾が乾汁でも作って脅したのかもしれない。

 じゃなきゃ、コノ場所でこんな面子・・・・・・アリエナイ。

「そんなの見れば分かりますって♪」

「らぶらぶっすね」

 桃城君と越前君がにやりと指摘してくれて、初めて私は自分の状態を思い出した。

 そうだよ!私、国光と腕を組んだままだったんだ〜〜〜!!

 私は慌てて手を離そうとしたんだけど、それは国光によって阻まれる。

(およ・・・?)

 チラリと見上げると、国光は微かに微笑んでくれた。

 離さなくて良いみたいなんだけど、良いのかな?皆いるのに。

 私は構わなくても、国光は構うんじゃない・・・カナ?

 なんて私の心配は何処吹く風ってカンジ。

「桃城、越前。このテーマパークの外周を20周してくるか?」

 国光の容赦ない一声に、越前君と桃城君は慌ててブンブンと首を振る。

「げっ!え、遠慮しときマス」

「ならば、余計なコトは言わないことだな」

 そう言い切る国光に、2人はコクコクと頷いた。

 思いっきり職権乱用な気がするんだけど・・・・・・

 皆、私と同じコト思っただろうけど、口に出すようなことはしない。

 だって言っちゃったら走らされそうだもん。

 そんな皆のことなど気にせずに、国光は不二をチラリと見る。

 あ、やっぱ国光も首謀者が不二だって気付いてるんだ。

「さて、不二。今日は何か用事があると言っていたと思うんだが?」

「だから、ここにいるんじゃない。部員同士の親睦を深めるために、皆で遊園地。全然問題ないでしょ」

 悪びれもぜずに不二は、ニッコリと極上の笑顔で答える。

 私にとってはソノ笑顔が、悪魔の微笑みに見えるんですけど。

「ちょっと、不二。国光が部長でしょ?その部長抜きで、部員の親睦深めるってどういうコト?」

 まさに私の質問を待ってましたとばかりに、不二は薄っすらと開眼して微笑んだ。

 不二の背後には何やらただならぬオーラも漂っていそうな勢いだけど、こんなの国光と付き合い出してからは

日常茶飯事だから、今更怖くも何とも無い。

「何言ってるの、。手塚抜きじゃないでしょ?」

 はい・・・・・・?

 不二の言っている意味が分からず、私は首を傾げる。

「・・・なるほど、そういうことか」

「そういうことだよ」

 国光は不二の言っている意味が分かったみたいなんだけど、私はさっぱり何のコトやら・・・・・・

「生憎だったな、不二。皆で楽しんでくれ。行くぞ、

 それだけ言うと、国光はそのまま足早に歩き出した。

「え?はい??」

 頭の中が混乱したままの私は、引っ張られるみたいになりながら国光についていく。

 後ろを振りかえると、何故か爆笑している不二と、他の皆が呆気にとられている姿がどんどん小さくなっていった。

 
 
 
 

「国光、どういうことだったの??」

 かなり皆と離れて、歩く速度が普通になったトコで、国光に問い掛ける。

「何がだ?」

「だから〜!さっきの不二に言った『なるほど、そういうことか』ってヤツ」

「あぁ、アレか。要するに、俺抜きじゃないということだ。さっきは間違い無く、俺も皆と一緒に居ただろ?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・なるほど」

 一緒に来てなくても、さっきは皆と一緒だったわけだし。

 国光抜きっていうことが、完全には当てはまらないってことを不二は言いたかったのね。

「あのまま俺達と合流すれば、完全に不二の計画通り「部員の親睦を深める」休日になっただろう。

だが、そうそういつも不二にのせられるのも癪だからな」

 いつも・・・ってコトは、普段絶妙なタイミングで男子テニス部員と会うのは、不二の仕業なわけか。

 無駄に天才じゃない、不二周助。

「だから、さっき皆とサクサクと別れたワケ?」

「そういうことだ。折角、と2人だけの時間を珍しく持てたのに、それを邪魔されるのは御免だったしな」

「〜〜〜〜ッ!」

 国光の言葉に、私はわたわたと慌ててしまう。

 お願いだからさ、そんな台詞で微笑まないでッ!

 滅多に見れない微笑が見れて、嬉しいやら恥ずかしいやらで間違い無く私の顔は紅い。

 照れてしまってどうして良いかわからなくて、国光の腕にギュッと抱きつく。

「どうした、?」

 不思議そうな顔をして国光が首を傾げる。

 ホント自覚無いのが犯罪よ、国光。

 でも、国光も同じコト思ってくれてたのが凄く嬉しい。

 私は背伸びして国光にコッソリと耳打ちする。

 
 

「あのね・・・ホントはどこでも良かったんだ。皆と一緒も悪くないんだけど、たまには国光と2人が良かっただけなの」

 
 

 国光は一瞬驚いた顔をしたけど、すぐにちょっと照れたような、でも凄く優しい微笑を浮かべる。

「じゃあ、今日は2人を楽しまないとな」

「うん!」

 私は満面の笑顔で、大きく頷いた。

「んじゃあね、次はアレ乗りに行こう♪」

 喜び勇んで私が指差した先には、ココのメインアトラクションの一つであるジェットコースター。

 それを見上げて国光は苦笑する。

・・・さっきも乗っただろう」

「ソレはソレ、コレはコレ。さっき乗ったのはあれじゃないもん」

 だってココに来たからには、あのジェトコースターには乗っておかないとね!

「・・・分かった。じゃあ、行くか」

「よっし。国光ゲット〜!」

 少々躊躇いがちの国光を引っ張る勢いで、心からの笑顔で私は歩き出した。

 2人だけの休日は、まだまだこれから―――

 
 
 
 

〜 Fin 〜

 


反省文。

えっと、あの―――ごめんなさい(涙)
実はシリアスっぽくしたかったんですが、そういえば前に遊園地ネタで書いたSSがあったのを思いだし、
それと被らないように書くと。。。び、微妙にギャグっぽくなってしまいました(笑)
手塚がいたら、間違い無くこの某有名テーマパークの外周を走らされたことでしょう・・・
そして、このSSを書き上げた日の夜、私の夢に手塚が出てきたのは何故なのでしょうか(爆死)

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