偶然と必然

賭けるべきは、幸運―――

 
 
 

無敵なSweet boy

 
 
 
 

「あの、すみません」

 早めに終わった授業に感謝しつつ、コートに向かっていた切原赤也は、背後から呼びとめられて足を止める。

 普段なら無視でもしていたかもしれない。

 けれども、呼びとめる声には不思議な力があり、絶対に無視できない『何か』があった。

「なに?」

 振りかえって見てみると、そこには小柄な男子生徒が申し訳なさそうな表情で立っている。

(・・・っていうか、男でいいんだよな?)

 思わず切原が自問自答してしまうのも無理はない。

 目の前に立つ人物。

 とても整った顔立ちで、カワイイという形容詞がそのまま歩いているような風貌なのだ。

 ふわふわした栗色の髪に、色素の薄い眼、そして透けるような白い肌。

 制服を着ていなければ、間違いなく女と間違えただろう。

「すみません。テニスコートって、どちらにあるかご存知ですか?」

「知ってるけど。。。アンタ、テニスコートに用があるの?」

「え?あ、はぁ・・・まぁ・・・」

「ふ〜ん」

 言いよどむ少年に、切原はあえて深くは追求しなかった。

 もちろん気にはなったけれども、聞こうものなら泣かれそうな雰囲気が少年には漂っている。

「テニスコートなら、行く途中だから案内するけど?」

「え?」

 切原の提案に、心底驚いたように少年は目を見開いた。

「なに?」

「い、いえ、ありがとうございます。でも、場所だけ教えていただけると助かるんですが・・・」

「あ、そう。この道真っ直ぐ行って、3つめの曲がり角を左に行けば、コートにはつくよ」

「ありがとうございます!」

 少年はニッコリと微笑んでペコリとお辞儀をすると、くるりと背を向けて歩き出した。

「ちょ!おい、テニスコートこっちだって!!」

 慌てて呼びとめると、少年は振りかえって微笑んだ。

「はい、道は分かりました。でも、今はまだ行けないんです」

「は?」

「後で行く時に参考にさせてもらいます、ご親切にありがとうございました」

 もう一度ペコリとお辞儀をすると、少年はそのまま歩いていってしまった。

(激カワイイじゃん・・・)

 少年の可愛さに、切原は純粋に興味がわいた。

 後でってことは来るってこと?

 もう一度会えるなら、ラッキーじゃん。

「・・・って、俺バカじゃん;一般コートの場所を教えちゃってるし」

 後悔先に立たず。

 廊下の先に視線を送るも、既に少年の姿は無い。

「はぁ〜;頼むから、まだ一般コートにいるときに来てくれるといいんだけど・・・」

 ただただ祈りながら、切原はコートへ向かって歩き出した。

 
 
 
 

 同じく放課後、柳生比呂士と仁王雅治は足早に部室に向かう。 

 何故足早なのかと言うと、部活開始時刻に間に合うか微妙な時間だからだったりする。

 何か理由があっての遅刻はさほど問題無いが、遅刻の理由がただの口論では問題大アリだった。 

「まったく。仁王君のせいで私まで遅れそうじゃないですか・・・」

「お互い様やろ?」

 しかも何気に、口論は続行中だったりするわけで。

 テニス部の部室前で、挙動不審な行動をとる少年が先を歩く柳生の視界にはいった。

「おや・・・迷子の子羊ですかね?」

「柳生、中学生をつかまえて迷子はなかろう。不審者のほうがよかろ?」

 隣を歩く仁王には、世間一般的な不審者に見える。

「不審がどうかは分かりませんよ、仁王君。入部希望者であったり、本当に迷子だったらどうするんですか?」

「こんな時期に入部希望者なんておらんぜよ」

 立海に通っていれば、テニス部の厳しい練習の噂ぐらい知っていて然り。

 それでいてなお、中途入部したがる酔狂なヤツがおるとは思えんのう。。。

「それは聞いてみれば分かることですね。―――失礼、何かテニス部にご用ですか?」

 迷子の子羊の背後から、柳生が丁寧に声を掛ける。

「え?」

 振り向いた少年に、柳生と仁王は一瞬固まった。

((少年・・・で良いん・・・ですよね(やろ)?))

 制服を着ているから少年と分かるものの、これが私服だと判別できる自信はない。

「ココってテニス部の部室なんですか?」

 固まった二人に気付かず、少年は部室を指差して軽く首を傾げる。

「え、えぇ。ここは男子テニス部の部室で間違いありませんが・・・」

「何か用でもあるんかの?」

 二人の言葉に、少年は困ったような表情を浮かべた。

「えっと・・・スミマセン。見なかったことにして頂けませんか?」

「「??」」

 予想外の言葉に、柳生と仁王は思わず顔を見合わせる。

「本当にすみません」

「それは構いませんが。。。見なかったことにする代わりに、ここにいらっしゃる理由を教えていただけませんか?」

 もとより、そちらのほうが気になるのだ。

 迷子なのか、入部希望者なのか不審者なのか・・・

 見なかったことにして欲しいと言った時点で、入部希望は消えましたけど。

「さっき、親切な方にテニスコートへの道をきいたんですけど、僕、間違って覚えてたみたいで・・・」

「真っ直ぐ行けば一般コートやな・・・」

 仁王が校内の場所を思い出しながらポツリと呟いた。

「左に曲がるべき場所を右に曲がってしまった・・・ということですね。しかし、コートに用事があるということは、

やはりテニス部にご用・・・もしくは、テニス部に所属する誰かにご用があるのでは?」

「い、いえ!ちょっと、遠目に見学させていただこうかと思っていただけなので;」

 慌てて答える少年に仁王がニッと笑って提案する。

「それやったら、レギュラーコートを見てみんしゃい。レヴェルがちがうぜよ?」

「いえいえ!ホント、チラッと見せていただければ良かっただけなので。ありがとうございます」

 深深とお辞儀をして断る少年に、仁王は苦笑した。

「遠慮しなさんな」

 更に言い募ろうとした仁王を、柳生が「仁王君」と制する。

「彼にもご都合というものがあるのでしょうから、また今度、機会があれば見にいらして頂けばいいでしょう。

あぁ、失礼。お名前を伺ってもよろしいですか?私は、3年男子テニス部、柳生比呂士と申します。」

「同じく、仁王雅治や」

と言います。明後日付けで3年に編入します、よろしくお願いします」

「「3年?!」」

 驚く二人に、は微笑む。

「はい、見えないでしょうけど」

「いえ。。。失礼しました。同じ学年にいらっしゃるなら、また何かの機会にお会いすることもあるでしょう。

案外、同じクラスということもありえますしね。宜しくお願いしますよ、君」

「俺もよろしくのう、

 ニッコリと微笑む柳生と仁王に、も「よろしくお願いします」と微笑む。

(・・・か、可愛いではないですか///)

(カワイイやないか///)

「では、私達は部活がありますので・・・これにて失礼します」

 心の叫びなど顔に出さずに、涼しい顔で柳生が優雅に一礼する。

「またの」

 そう言って、仁王は部室のドアを開いた。

「はい、ありがとうございました」

 微笑んでは、一般コート目指して足早に歩いていった。

「かわえかったの・・・」

 その後姿に、仁王がポツリと呟く。

「そうですね」

 素直に頷いた柳生に、仁王は面白そうに笑う。

「珍しくテニス以外で意見がおうたの」

「そうですね。。。それより、仁王君」

「なんや?」

「・・・私達、完全なる遅刻ですよ」

 との話しで忘れていたけども、遅刻寸前の時間だったのだ。

 既に遅刻決定の時間だ。

「まぁ、仕方なかろう」

「ですね。可愛い迷子の子羊とお近づきになれたわけですし、甘んじてペナルティーを受けましょう」

 嬉しい誤算も、たまには悪くないでしょう。

「そうやのう」

「できれば、また会えると良いのですけどね・・・。ま、明後日になればお会いできますが」

「いんや。。。今日必ず会えるぜよ」

 そう自信たっぷりに言う仁王に、柳生は呆れ顔だ。

「どこからその自信はくるわけですか?」 

「・・・プリ」

「ま、お手並み拝見といきましょうか」

 仁王君の予想があたるなら、それも良し。

 外れても、どうせまた会えるのですから。

「まぁ、見ときんしゃい」

 柳生、俺の予想は外れんぜよ。

 必ず会える――― 

 
 
 
 

〜 to be continued later 〜

− next −

 
     

     
  □ 反省文 □

立海男主人公、とうとう連載開始してしまいました(死)
アリエナイですよ、マジで。っていうか、キャラの呼び方が〜!
仁王の方言が!!謎が多すぎて、何度コミックを読みなおしたか。。。
しかも、徹夜明けなので朦朧としてるので、後で微妙に変わる可能性アリです。
でも、ひとまずこんなカンジで展開していく・・・予定☆ドリー夢だから、何でもアリなんです!

っていうか、仁王&柳生良いです。ってか、なんだろう・・・メガネは好き(笑)
方言も大好きってことで、セットで大好きなカンジですよ。
あぁ、でもブンちゃんも真田も・・・って、結局は全員好きなんですよ、ホント♪

 
     

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